サラダ油という油は日本だけ

【サラダ油という油は日本だけ】

 

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私達がよく目にするサラダ油。

 

元々サラダに生で掛けるため低温でも濁らない滑らかな油が
求められて大手企業が作り始めたのがサラダオイルです。

サラダ油の定義としてJAS日本農林規格)では
0℃の温度で5.5時間置いても濁らない油とされています。


ちなみに これは日本独自の規格です。

海外ではオリーブオイルやピーナツオイル、菜種油や
サフラワーオイル等手に入るオイルを好みで使い分けています。

 
原料は基本的に 「遺伝子組み換え」です。

菜種 大豆 トウモロコシ ひまわり ゴマ 紅花 米 綿実 ぶどう等9種がメイン。
これらのブレンドもありますがオリーブ等は
含まれないのでオリーブのサラダオイルは無いのです。
 
  
以下のご紹介する方法は特別な方法では有りません。
いつも見かけるサラダ油の作り方です。
「溶剤抽出法」と言います。

 
1 まず原料からごみを除く
2 前処理 油を抽出しやすくする為に加熱します。
3 粉砕したり 潰して表面積を拡大。
4 溶剤「ノルマルヘキサン」に漬け込み 油分を溶出させます。
5 ノルマルヘキサンだけ蒸発させる為に一旦加熱します。
  (蒸発させたヘキサンは冷却後 再利用)
6 精製工程 不純物や有害物質が取り除く。
 (脱ガム・脱酸・脱色・脱ロウ・脱臭等)
7 完成

 

※ヘキサンとは
灯油、ガソリンに多く含まれている。ベンジンの主成分
その他 ホームセンターや自動車用品販売店で
「ブレーキクリーナー」「パーツクリーナー」という名称で
ヘキサンのスプレーが販売されている。

沸点は67℃

 
6番の精製工程をもう少し詳しく。
〔脱ガム〕
温水を加えてリン脂質などを取り除く工程
油の種類や場合によっては省略される。
〔脱酸〕
リン酸で分離しやすくしておいて苛性ソーダを使って石鹸にし、取り除く行程。

同時に微量金属や色素などの不純物も除去される。


〔脱色〕
油の色を取り除く行程。主にカロチノイド色素やクロロフィルなどを
取り除く。熱による加熱・酸化分解する方法と白土や活性炭などを用いた吸着剤による脱色法がある。


〔脱ロウ〕
サラダ油は低温時に固まって濁りを生じてはまずいので、精製油を低温にさらし、そこで生じる固まった脂を除去する。


〔脱臭〕
真空水蒸気蒸留法によって臭いを取り除く行程。
油を240度以上で加熱 減圧し水蒸気を吹き込みながら臭み成分を取り除く。
高温なのでトランス脂肪酸が発生。

※余談ですが俗に言う〔カネミ油症事件〕は 
この脱臭工程でPCBが混入した事が原因。

 

 

まとめ

結局、様々な化学的工程を経て精製された油が出来ている事が分かります。
普通に絞っただけでは あのクセの無い透明な油は出来ないのです。
それだけ不自然な状態と言えるでしょう。
今までクセのない透明な油が普通だと思っていた方も多いでしょう。
しかし 本当にクセがなく透明でないと困りますか?
その前に そんな油は本当に必要でしょうか?
そう思うと 本来ならそんなに精製しなくても諸外国のように自分で美味しいと思った油を使い分ければよいのです。
どうして匂いや味を消し去ってしまうのか?
多くの人が使わなくなれば過剰に精製した油は作られなくなります。
そうすればメーカーは目先を変え 油を精製する技術よりも もっと品質の良い物や鮮度の良い物を提供してくれるかもしれません。